ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

作曲をする安部幸明

 『作曲家との対話』の中の「安部幸明」の章の内容です。3つの作品を順々に聴きながら、インタビューがすすみました。すこしだけ抜粋ししてご紹介します。

安部幸明 速いスピードの曲が好きです……ききて 田村徹

―「交響曲第1番」(1957)を聴く

だいたい、私の音楽というのはわかりがよろしいんで、特に説明を要するものじゃないと思うんです。

■ヴァイオリンに魅せられて

 現在では音は非常に豊富ですから、そういった意味では音が無駄にされているという気がします。僕が中学校へ入ったころ初めてラジオ放送が始まりました。それを通して、いろいろな音の世界があるものだと、びっくりしました。(中略)僕は弾く楽器吹く楽器より、こする楽器にものすごい魅力を感じたのです。この嗜好は現在も残っているようです。

―「弦楽四重奏曲第7番」(1950)を聴く
弦楽四重奏が一番面白い

 学生時代、同級生を誰彼となくつかまえ、カルテットやその他いろんなアンサンブルをやったのですが、弦楽四重奏が一番面白いですから、自分でもこういうのをつくりたいものだということが、作曲家への動機になったわけです。(中略)特にベートーヴェンのカルテットに強い印象を受けました。

■作曲を志す若い人に

 近頃の若い人は、僕らの若い頃とは比べものにならないくらいテクニックを持っていると思う。僕なんか逆立ちしても及ばないくらい力を持っている。しかしこんなこと言っちゃ悪いんだけど―僕らの頃は力はないんだけど、音楽が好きで一種の文学青年式に一生懸命やるんだ、ということだったと思うんです。だけど今は、何か流行するとそういうのがパーッと出てくる、それが僕にはちょっと理解できないんです。

■踊りの占める位置は大きい

 ついこの間バリ島へ行って「ガメランの音楽」を聴いてきました。私はかねがね音楽は踊りと全然無縁ではないと思ってきましたが、まさに、ガメランを見て初めてそれが踊りの伴奏音楽以外の何ものでもない、と感じました。
 しかしわれわれはその踊りを見ずして音楽を聴き、ガメランがどうだこだと議論する場合が多いわけで、これは西洋音楽でも同じことがいえるわけです。

―「オーケストラのためのシンフォニエッタ」(1964)を聴く

生意気なことをいわせてもらえば、アレグロを書くのが好きな作曲家は日本ではあまりいないんじゃないでしょうか。

出典:『作曲家との対話 』日本音楽舞踊会議・日本の作曲ゼミナール1975-1978編(新日本出版社, 1982.08)p203-210 http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20141104/