ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

バシュラール『蝋燭の焔』

 25回演奏会の曲目解説を書いた隣のおじさんビオラが、バシュラール『蝋燭の焔』の本を貸してくれました。解説の中の次の一文が私の心をとらえます。

ガストン・バシュラール(1884 〜 1962)は、空気、水、火、木、風、岩、土などがいかに詩的想像力をかきたてるかを説き、物質をじっと見つめることでひらかれてゆく想像力のことを「物質的想像力」と呼んだ。著作「蝋燭の焔」(渋沢孝輔訳 現代思潮新社 2007)の中では、「むかし、揺らぐランプの炎をみつめることによってはぐくまれた想像力は、電灯という近代テクノロジーのもとで失われてしまった」と述べている。
 伊福部の音楽は、バシュラールの説く「物質的想像力」を糧にして生れたことであろう。伊福部が幼年時代を過ごした釧路や音更、林務官として過ごした厚岸の町と釧路西部森林管理区域での日常における“ 蝋燭の焔 ” は何であったろうか。

 バシュラールはチェレプニン(1899-1977)と同時代にパリで活動した哲学者です。明日の演奏会でこの“ 蝋燭の焔 ” を見つめることができればと思います。