ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

2014-04-26と27の練習日記、あるいはチェレプニン

 チェレプニンの第3楽章、阿部加奈子マエストラ曰く「この楽章には登場人物が6人います。最初はホルンとトランペット。」確かに最初の20小節はホルンとトランペットだけ。12小節間トランペットの旋律にホルンが絡むと、13小節目からは役割が交代していました。21小節目からはクラリネットが旋律を奏で、ティンパニがリズムを刻みます。他の楽器もうっすら入ってきますが主役はクラリネットティンパニ。マエストラ「このクラリネットのメロディーは、ロシア民謡を想起させるものです。」1927年29歳のチェレプニンは亡命先のパリでこの曲を書きましたが、遠い故郷の旋律が心に深く染み込んでいたのでしょう。他の楽器群が音楽を引き継いで展開した後、練習番号5番からは突然バイオリンとコントラバスがソロで12小節間舞台を独占。これで6人の登場人物が揃いました。3楽章の最後の12小節間はこの6人(コントラバスは全員)の物語。それぞれのカップルが奏でていた音楽が見事に重なり合って提示され、突然終わります。長い間西洋の管弦楽作品を数多く演奏してきましたが、このような曲は初めてです。チェレプニンの音楽に深くせまるマエストラの棒に感謝。(写真は3楽章の最後の部分。)