ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

「五線譜に描いた夢−日本近代音楽の150年」展に行きました

「五線譜に描いた夢:日本近代音楽の150年」展を観てきた。オペラシティアートギャラリー。忘れないうちにいくつかメモ。ツイートしたのをまとめておきます。特設サイトはこちら

  1. 1853年にペリーが浦賀に上陸した時の楽隊を描いた画が出ていた。これまで音の事は意識したことが無かった。その時の楽器などたくさんの画が描かれている。当時の日本人の好奇心、絵の技術の確かさなど面白かった。演奏されたのがヤンキードゥードゥル(いわゆるアルプス一万尺)というのも驚き。
  2. 初期の讃美歌集が展示されていたが、持ち主は知っている人だった。
  3. 映像が3つあった。図録にみあたらなかったので思い出すと「軍楽隊」「讃美歌」「音楽取調掛」あたりだったような。「君が代」は最初作曲したのがフェントン、次にエッケルト、そして現行のものが日本人によって作られた。最初の二つを警視庁音楽隊が演奏していて、指揮は藤崎凡さんだった。
  4. 薩摩藩の音楽隊は薩摩バンドといったそうだ。儀礼音楽を作るようフェントンに勧められた薩摩藩大山巌が「君が代」制定に関与したとのこと。大山巌については先日調べたばかり。http://www.ndl.go.jp/portrait/datas/39.html?cat=33
  5. 映像には明治学院大学の樋口隆一先生が登場。
  6. 明治の楽器の例として、ヤマハのピアノが展示してあった。ヤマハは2007年にベーゼンドルファーを買収したとあったが、知らなかった。ピアノには"Nippon Gakki Seizo Kabushiki Kwaisha"と書いてあった。
  7. 第2部は「大正モダニズムと音楽」。山田耕筰の『曼陀羅の華』(1913)のスコアが出ていた。演奏したことがあり、旋律が流れていたので聴いていたらだんだん思い出してきた。
  8. 1925年の日露交歓交響管弦楽演奏会のポスターが出ていた。初めて見た。演奏会の内容は知っていたが。http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20100423/1272025523
  9. 山田耕筰北原白秋が出していた雑誌『詩と音楽』も出ていた。この雑誌は1922年9月から1923年10月まで発行と、巻末の「日本の音楽雑誌1890-2013」にあった。深井史郎の『詩と音楽』は1号だけだったが。
  10. 雑誌『詩と音楽』は書肆アルスから出ていたが、アルスの社主北原鐡雄は白秋の弟、と図録にあり。『平和への祈り』の詩を書いた大木惇夫もアルスから詩集を出していた。
  11. 山田耕筰作曲、北原白秋作詞『からたちの花』の自筆譜。この曲は荻野綾子に捧げられたもの。譜面の近くに写真あり、荻野綾子、山田耕筰、深尾須磨子、北原白秋三木露風の5人が写っていた。図録には無し。
  12. セノオ楽譜の出した楽譜がたくさん展示してあった。竹久夢二が画をかいているすてきな表紙。
  13. 宮澤賢治のところにもいろいろ展示物あり、『双子の星』には「星めぐりの歌」の楽譜も書かれていた。原稿用紙に五線譜が貼り付けてあった。
  14. アンリ・ジル=マルシェのピアノ演奏会プログラム。薩摩治郎八の本で見たのと同じもの。
  15. 第3部「昭和の戦争と音楽」。新興作曲家聯盟の話。映像では林淑姫さんが解説をしていた。
  16. 橋本國彦の『お菓子と娘』の歌が流れていた。『斑猫』の楽譜、きれいな表紙。斑猫が描かれている。橋本の『交響曲ニ調』のスコア。1996年に演奏したのを思い出す。
  17. 伊藤昇の楽譜。坂口安吾から伊藤昇あての手紙。あて先をみると大森区北千束町となっている。
  18. 大澤寿人の『ピアノ協奏曲第3番』は野平先生のピアノで二回も演奏した神風。
  19. 太田(荻野)綾子「日本歌曲新作演奏会」1935.6.3日本青年館。日本人作曲家にたくさん曲を委嘱していたのがよくわかる。
  20. プリングスハイムの『管弦楽のための協奏曲』(1934)のスコアが出ていた。これは演奏してみたいと思う。マーラー5番日本初演のプログラムもあった。山田和男が感動した演奏会。http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20110816/1313488250
  21. チェレプニン!年配のイメージだったが好青年の写真!チェレプニン筆の伊藤昇マドロスの悲哀への感覚』講評(1934.10.26付)というのがあって興味深かった。良いところと弱点が書いてあった。
  22. 伊福部昭『交響譚詩』のビクターからでたレコード。石井眞木がすりきれるまで聴いていたSP。
  23. 紀元二千六百年奉祝楽曲発表演奏会のプログラム、楽譜、SP、映像も。リヒャルト・シュトラウスについてはシュトラウス家からの映像も。オリジナルスコアは芸大図書館貴重書室を見学した時見たことがある。ブリテンシンフォニア・ダ・レクイエム』は演奏したのでよく覚えている。
  24. 第4部「戦後から21世紀へ」。宅孝二柴田南雄、戸田邦雄、入野義朗、早坂文雄清瀬保二、平尾貴四男、高田三郎、どれも演奏したことがある。
  25. 実験工房武満徹、そして秋山邦晴さん、お世話になりました。1951年から行われていた実験の数々・・・
  26. 武満徹『弦楽のためのレクイエム』自筆譜。1974年に演奏した最初の邦人作品。そのときは確かサラベールの楽譜だったように思う。
  27. 「3人の会」第1回演奏会のポスター、なかなか迫力あり。誰のデザインだろう。3人の会はこちらhttp://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20110211/1297430616
  28. 芥川也寸志エローラ交響曲(1958)自筆スコア。調べたら5回も演奏していた。独特のリズムが頭から離れない。
  29. 芥川也寸志『暗い鏡』自筆譜。"Dark Mirror"と書かれている。そして『ヒロシマのオルフェ』モスクワ公演のポスター。
  30. 日本オーケストラ連盟加盟団体の最近のチラシ展示、尾高賞歴代受賞作品一覧と、楽譜、今年の受賞作は野平一郎『彼方、そして傍らに〜ハープと室内オーケストラのための〜』。6月に聴いた。http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20130625/1372112278
  31. 第4部の映像には岡部真一郎明治学院大学教授が登場。
  32. 展示はここまで。売店で図録3150円也を入手。樋口隆一、林淑姫、岡部真一郎各氏を始めとした貴重な論考も掲載されている。図録でわかることも多いが、映像や音の視聴は会場でないとできない。23日までやっているがまた行く時間がとれるか。