ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

橋本國彦『笛吹き女』について

 1929年の荻野綾子独唱会プログラムの最後に、『笛吹き女』について作曲者の橋本國彦が寄せた言葉が載っていました。橋本國彦25歳。

『笛吹き女』に就て
 深尾須磨子氏の詩による「黴」並びに「斑猫」と姉妹曲にして、共に日本としては新らしき試みなる朗読調式の作曲法による。
 フリュートはしばしば独奏的旋律を以て「笛吹き女」を表はされ、最初に現はれる旋律は始終ヴァリエーション的に変形を以て、種々なる楽器に現はされ、その間、エピソードを含みつゝ、第二義的主題がニ三、ロンド風に然も変形されつつ現れる。かくの如く、独唱を除きても殆ど独立せる音楽をなせど、全体としては勿論、純形式的器楽曲の如き厳格さを持たぬ。 橋本國彦

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