ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

四家文子と山田一雄

 四家文子の自伝には、6歳年下のヤマカズ先生も登場していましたのでご紹介します。

山田和男
 山田さんとはローゼン先生が渡米された後のN響定期で、マーラーの「第二シンフォニー」を御一緒した思い出が強烈に残っている。
 (中略)
ベートーヴェンの「荘厳ミサ」を代役で急きょ歌うことになった時のエピソード)歌うのは四回目だったし、一通り練習はしたものの不安な気持ちは去らない演奏だったが、第一曲を無難に歌い終わった時、山田さんが聴衆に見えないようにわたしの方に向かってこっそり拍手して下さった。そうしたやさしい心遣いは嬉しいものであり、後は落ち着いて歌うことが出来た。
 作曲家としての山田さんはわたしの愛唱する、「もうじき春になるだろう」(作詩・城左門)の名歌があるし、深尾須磨子詩による三十分の大曲「祖師ケ谷より」など、器楽的な構成の大変興味深い歌曲を創作されている。
 私が山田氏曲を初演する時は彼に一つ一つ聴いてもらって助言を受けたが、新しい傾向の曲の解釈とそれへの演唱の惑いもあったわけで、それには丁寧で適切な説明と指示を下さり、すべてに納得がいって歌えたことは、作曲家としての自信と並々ならない歌曲への傾倒と才能の持ち主であるといえよう。


出典:四家文子『歌ひとすじの半世紀』(芸術現代社、1978)p130-132

 マーラー2番の演奏記録はつぎのとおり。

NHK交響楽団 1949 昭和24年
#306=4/18, 19 日比谷公会堂
  指揮/山田一雄
  独唱/三宅春恵, 四家文子
  合唱/国立音校合唱団, 東京放送合唱団
マーラー交響曲第2番

出典:新編日本の交響楽団 定期演奏会記録1927-1981