ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

気韻生動について(その1)

 石井眞木『飛天生動』の曲名の元になった、謝赫の言う「気韻生動」について何も知らなかったので、CiNiiで検索したところ20の論文がヒットしました。最近のものから引用してみましたが、美術の世界ではよく知られている言葉なのですね。

2. 東洋の美意識について
 謝赫は中国の南北朝時代に生まれた画家であり批評家でした。彼は画家としてより批評家として後世に名前を残した人物です。批評家としての特異な才能は<古画品録>を著したことです。古画品録は中国の作品を批評したものですが、その中に<六法>があり、その第1の「気韻生動」は日本の画家にまで影響を与え、今日でも作者や鑑賞者の美的表現の判断基準になっているのです。
 気韻生動については、B.ローランドが「東西の美術」の中で、「拘束された厳格な動きのとれない規則ではなく、むしろ、制作の極致を定める基準であり、すべての画家が進んで切望するものであった。芸術家の主たる狙いは自然や精神的調和を、彼が描くもろもろの形式に吹き込むこと《気韻生動》であった。」と言っているように絶大な影響力を持っていたと思います。気韻とは、天地や人間の体内に起こるエネルギーが自他間の中で響き渡ることであり、それによって、生まれ動く作用を生動と言うのです。真剣に生きている人が真剣に生活している人に出会うと、その体内にある気がぶつかり合って響き合い、そこに生動が起こり、何かが生まれると言うことなのでしょうか。


出典:美術教育:より良き美術表現のために−I / 薬本武則(共栄学園短期大学研究紀要 (27), 63-92, 2011-03-31)p68-69 http://ci.nii.ac.jp/naid/110008426889

石井眞木『飛天生動』IIとIIIのCD http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20130527/1369612854

石井眞木『飛天生動』 http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20130526/1369570212


(写真は『西の響き・東の響き』の表紙から)