ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

祈りについて

 今回のマニラ公演に際して気づいた「祈り」の数々。市内観光で訪れたリサール公園の英雄ホセ・リサールの記念碑。スペイン統治時代の石造りの壮麗な教会。スペイン人邸宅カーサ・マニラに設えられていた小さな祭壇。室内楽演奏会で奏された久保禎『哀歌』。マランバ神父作曲『弦楽四重奏曲』。オーケストラ演奏会の冒頭での黙祷(これについては帰国後その意義について知らされた)。そして友人松居友さんの発行するミンダナオ子ども図書館機関誌『ミンダナオの風』最新号に載っていた、ミンダナオでの「平和の祈り」。

日本軍要塞跡での平和の祈り
松居友


 絶えず戦闘に見舞われてきた、イスラム地域、そのなかでも特にひどかったピキット市には、スペインの侵略時代に作られた要塞跡が残っている。ここには、第二次世界大戦時代に、日本軍の総司令部が置かれていて、激戦が展開された場所でもある。
(中略)
 ミンダナオ子ども図書館では、子どもたちと平和の祈りの祭典を、戦闘の絶えなかったピキットの日本軍もいた要塞跡ですることにした。
 会場には、ピキットの市長、村長たち、マノボ族の首長たち、イスラムの聖職者、プロテスタントカトリックの牧師と司祭も参加して、祈りの言葉を述べてくださった。
 私は最後の挨拶で、この祭典に足を運んでくださった方々、そして若者や子どもたちに、心から感謝を述べると同時に、ミンダナオの戦争で亡くなったすべての霊、とりわけ罪も無く戦争の犠牲になった子どもたちや人々に、神の愛と平安があることを願い、マノボ族やイスラム教徒やクリスチャンであるミンダナオの人々を前にして、日本人として、日本軍が犯した過ちを心から謝罪した。
(後略)
出典:『ミンダナオの風』38号(2012年12月)

 12月にこの文章を読んだときは、フィリピンはまだ遠い遠い場所であった。しかし今は、ごく近くの親しい土地となっている。


ミンダナオ子ども図書館 http://home.att.ne.jp/grape/MindanaoCL/