ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

山田一雄『一音百態』「印象深い信時先生」

 音楽学校を卒業してそのまま研究科に進み、合計8〜9年ほど学校に籍を置きました。そのときに出会った信時先生はとても印象深い先生でした。

 若き日にドイツに留学された先生の作曲法は、当時の音楽学校のほとんどすべての先生がそうであるように、古いドイツのシステムで凝り固まっている。にもかかわらず、信時先生ただ一人が、「これからの音楽」というものに深い理解を示されていたのである。
(中略)
 このようにご自身のフィールドで、オリジナリティあふれる仕事をされた半面、新しいものに対しても、大変な勉強家でおられたことはいうまでもない。研究科時代のわたしが、ピアニストとして当時の前衛作曲家・ヒンデミットバルトークらを弾いた演奏会などでも、先生が講演を引き受けてくださったこともあった。
『一音百態』p102-103より)