ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

山田一雄『一音百態』「音楽学校入学を決意」

 家で弾いていたピアノを聴きつけて、上野の音楽学校を出たという小鷹さんが尋ねてきました。小鷹さんは小学校の音楽の先生で、30才ほど年の違うのにすっかり親しくなり、作曲した曲をいくつも見て母校の船橋栄一教授を紹介してくださいました。船橋教授は「ぜひ、この学校にお入りなさい」と言って励ましてくださいました。

 当時、東京音楽学校で最高の地位にあり、楽界への影響力も大きかった主流派の船橋教授に評価され、わたしはやはり、悪い気はしなかった。しかし一方では、不遜ながら「当然のこと」として受けとめていた。
 もちろん、理論的には、随所に間違った点があったに違いない。が、音楽の本質には、理論うんぬんよりも、まず感性が先行する――と、子供ながらに信念にも似た強い意志を持っていた。
『一音百態』p74より)

 先生方に力づけられて作曲を続け、日比谷公会堂の音楽会を聴きにいく機会もあり、「なにがなんでも音楽学校にはいる」という決意が固まってきました。