学習院では言葉遣いなど大変丁寧な指導が行われていました。その一方でスポーツの指導も盛んで、四ツ谷から練馬方面まで駆け抜けるクロスカントリーや、弓道、柔道、剣道、乗馬など初等科から中等科にかけてあらゆるスポーツを楽しみました。
こうして、少年時代にいろいろなスポーツに親しんだことは、その後のわたしの生活を、とても広げてくれたように思う。五十代までは、シュノーケルをつけ、二十メートルほど深く素潜りをして、海のだいご味を満喫したし、乗馬は現在も機会をみつけて楽しんでいる。また、指揮の仕事は、肉体的にもかなりハードだけれど、わたしはスポーツの楽しみにも似て、それがほとんど苦にならない。指揮台から転落した時に、あやうく命拾いしたのも、スポーツで鍛えていたおかげ、と思っている。
（『一音百態』p45より）
