ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

山下洋輔と紙恭輔、あるいは音楽家の交遊

 今月の日本経済新聞私の履歴書」はジャズピアニストの山下洋輔さん。昨日(6/5)の記事の中に、「日本のジャズや映画音楽の開拓者の紙恭輔さん」の名前が登場しました。直接会ったのではないようですが、紙恭輔の名前が当時とどろいていたことは伝わってきました。紙恭輔といえばニッポニカ第3回演奏会で演奏した『木琴協奏曲』の作曲者です。
 深井史郎略年譜の中にも紙恭輔は登場します。

深井史郎略年譜
http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20100710/1278716205

1935(昭10): 紙恭輔指揮PCL管弦楽団演奏の「リンドバーグの飛行」(伊藤昇編曲)の訳詩を塩入亀輔と担当。/太田(荻野)綾子独唱で「春幾春」初演。(28才)

 PCL管弦楽団のPCLはPhoto Chemical Laboratoryの略で、東宝映画の前身のひとつの写真化学研究所のことです。PCL管弦楽団は映画音楽を演奏する団体でした。編曲者の伊藤昇の作品はニッポニカでも第4回第8回の演奏会で演奏しています。
 深井史郎の『春幾春(はるまたはる)』(城左門詩)を歌った太田(荻野)綾子は、深尾須磨子とともにフランスに滞在し、声楽を学んでいました。山田和男作曲、深尾須磨子作詞の1944年の作品『竪琴の音によせて』は、その年に亡くなった荻野綾子の追悼作品です。