ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

『風をつかまえた少年』

 昨年11月に新聞の書評に出た一冊の本、アフリカのマラウイの少年が町の図書室でみた本をたよりに、風車を作り上げる話。気になって買ったものの読む機会を逸して部屋に埋もれていました。今年になり、ドーソンの音楽にどっぷりつかり、「海賊」の本を読みアフリカとアメリカの歴史的関係が見えてきました。そして「電力」について深く考えさせられる体験をし、この本のことを思い出して手にとりました。
 読み始めてみると、風車を作った後半よりも、そこに至るまでの前半の成長過程にはるかに心を奪われました。息子達とほぼ同じ年代のカムクワンバ少年はアフリカの土俗的風土の中で、小学校に通い、父親の畑仕事を手伝い、友達とガラクタを集めて遊びます。電気はお金持ちの家にしか通じてないので、日が暮れれば本など読めません。そんな生活の中で風車で発電した電力で部屋に電灯を灯した喜びなど、想像を絶するものであると同時に、日ごろの消費生活の過剰さ加減が身にしみました。

風をつかまえた少年:14歳だったぼくはたったひとりで風力発電をつくった / ウィリアム・カムクワンバ, ブライアン・ミーラー著 ; 田口俊樹訳
  文芸春秋, 2010
  380p : 20cm
  内容:
プロローグ…8
第1章 魔術の支配する村で…10
第2章 父さんの思い出…38
第3章 ぼくの相棒、カンバ…67
第4章 科学に目覚める…89
第5章 マラウイを襲った飢饉…105
第6章 食べものがないクリスマス…130
第7章 中学校に行けなくなる…159
第8章 待ちに待った収穫…182
第9章 図書室で出会った一冊の本…208
第10章 発電機づくりに取りかかる…231
第11章 電気を起こす風…254
第12章 トラブルと改良…274
第13章 迷信と戦う…289
第14章 教育がチャンスを与える…322
第15章 トライして、やり遂げる…340
エピローグ…364
訳者あとがき…373
解説 知識が力となるために / 池上彰…377

WebcatPlus / 文芸春秋社 書籍情報

 現在はアメリカの大学で学ぶカムクワムバ少年のサイトはこちらです。
http://williamkamkwamba.typepad.com/