ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

大木惇夫―宮田毬栄―松本清張

 詩人大木惇夫の娘、宮田毬栄著『追憶の作家たち』(文春新書、2004)を読み始めたら、最初が松本清張。宮田さんが中央公論社に入って最初に担当したのが松本清張で、編集者としてきたえられた話が見事な筆致で綴られています。執筆に専念する著者に代わって様々な情報を取材してくる出版社員の仕事も興味深いものです。中でもテキヤの取材は著者を感激させ、出来上がった本に「この本の共同取材者 大木毬栄様」と書いて贈ってくれたそうです。

清張さんは私にとって何よりも父性の人に映った。お嬢さんが私と同じくらいの歳だったせいもあって、清張さんは最初から強い父性の人として現れたともいえるだろう。私の父があまり父性的でない親であったためか、清張さんの家父長的な安定した精神が私には心地よかったのだろう。(p23)

 松本と三島由紀夫との確執についても、踏み込んだエピソードが書かれていました。作家と編集者と出版社の関係についていろいろな側面がわかる本です。