ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

リルケ『秋』

 すっかり秋になりました。


木の葉が落ちる 落ちる 遠くからのように
大空の遠い園生(そのふ)が枯れたように
木の葉は否定の身ぶりで落ちる


そして夜々には 重たい地球が
あらゆる星の群から 寂寥のなかへ落ちる


われわれはみんな落ちる この手も落ちる
ほかをごらん 落下はすべてにあるのだ


けれども ただひとり この落下を
限りなくやさしく その両手に支えている者がある


Herbst


Die Blaetter fallen, fallen wie von weit,
als welkten in den Himmeln ferne Gaerten;
sie fallen mit verneinender Gebaerde.


Und in den Naechten faellt die schwere Erde
aus allen Sternen in die Einsamkeit.


Wir alle fallen. Diese Hand da faellt.
Und sich dir andre an: es ist in allen.


Und doch ist Einer, welcher dieses Fallen
unendlich sanft in seinen Haenden haelt.


出典:Ausgewaelte Gedichte / Rainer Maria Rilke ; herausgegeben von H.Fujikawa (郁文堂、1958)
(日本語訳)リルケ詩集 / 富士川英郎訳 (新潮社、1967)

 リルケのこの詩について、聖路加国際病院理事長で98歳の医師・日野原重明さんは『「フレディ」から学んだこと』(童話屋、2000)で触れています。日野原さんは絵本『葉っぱのフレディ』に着想を得て同名のミュージカルを書いたことでも知られています。日野原さんは1911年生まれですので、山田一雄先生より一つ年上になります。
 リルケ『隣人』はこちら、『秋の日』はこちら