ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

伊福部昭『寒帯林』の楽章、あるいは「杣」について

伊福部昭作曲『寒帯林』は次の楽章からなります。

第1楽章 うすれ日射す林  Andante tranquillo
第2楽章 杣の歌  Moderato pastorale
第3楽章 山神酒祭樂  Allegro rapsodico

第2楽章「杣の歌」の「杣」は、「木こり」のことで、「そま」と読みます。「杣」はまた、木こりが働く「山」や、木こりが切り出した「材木にするための木」のことも指します(講談社日本語大辞典』より)。いかにも北海道で林務官を務めた伊福部先生らしいタイトルです。(もしかしたら先生は「杣」と書いて「きこり」と読ませたかったのかもしれません。)
早坂文雄の映画音楽『羅生門』には、「杣売の証言の場面の音楽」があります。こちらは「杣売」と書いて「きこり」と読ませることもあるようです。映画では志村喬演じる杣売が、山道をどんどん進んでいき、事件の跡を発見する場面に流れる音楽です。