ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

片山杜秀「核の時代のオルフェウス」

音楽評論家片山杜秀さんの『音盤考現学』(アルテスパブリッシング、2008)に「オルフェ」が載ってるらしいと聞き付け、早速教文館で買ってきました。この本は音楽之友社の月刊誌『レコード芸術』に連載されたものを単行本にしたもので、「核の時代のオルフェウス」というタイトルで『ヒロシマのオルフェ』のCDが取り上げられていました。実はこの本、以前に買った記憶があるのですが、家の中のどこにあるかわからない…。しかしこの章は読んだ覚えが無いので、博覧強記の著者に圧倒されて読みきれなかったのかもしれません。
片山さんはコクトー映画「オルフェ」と芥川/大江の「オルフェ」を比べて論じています。そして「けっきょく、コクトーの『オルフェ』の十年後に、それを現実的・政治的・社会的に大げさに仕立て直して生れたのが《ヒロシマのオルフェ》なのだ。」と結論付けています。初出は2003年2月号とありますので、さすが片山さんはずいぶん前からコクトーのオルフェが頭に入ってらっしゃったのだと感心しました。(なお片山さんはニッポニカの応援団のお一人でいらっしゃいます。)