ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

演奏家

『市民のオルガン:小船幸次郎と横浜交響楽団』

チェレプニンを調べていたら、『市民のオルガン:小船幸次郎と横浜交響楽団』という本に行き当たりました。2007年にでたこの本、我が家の本棚にも1冊鎮座していました。600ページ近い立派な装丁のこの本の第1章に、1930年代に来日したチェレプニンについて7…

東京芸大図書館「荻野文庫」

山田一雄自筆譜展のカタログに載っていた、「荻野文庫」の紹介記事からの抜粋です。 「荻野文庫」について [前略] 「荻野文庫」は2007年になって本学図書館から「発見」されたもの。戦前の一時期、東京音楽学校教授を務めた太田太郎(1900-1945)の蔵書に含…

2013-11-09の練習日記、あるいはハープ

今日はハープの入る3曲、『笛吹き女』とショーソン『リラの季節』『交響曲』。『交響曲』にはハープが2台はいります。そういえば荻野綾子はフランスで声楽だけでなくハープも学んできています。師はミシュリヌ・カーン(Micheline Kahn, 1889-1987)。最初の…

荻野綾子『音、音、おと:オネッガア。ギーゼキング。モッソロウ機械音楽』

荻野綾子がパリ滞在中に書いた文には、たくさんの音楽体験が綴られていました。朝起きた時から向かいの家のピアノ、二階のロシア人の蓄音機、中庭で流行歌のジンタ……。そして毎晩のように通う音楽会。 シャトレの劇場で、ピエルネの指揮、コンセル・コロンヌ…

荻野綾子とクロワザ

荻野綾子が二回目のパリ滞在中に書いた文にクロワザが登場していましたので、抜粋しました。 巴里との握手 在巴里 荻野綾子 1931年。これは私が3年振りに巴里で迎えた年です。私が巴里のリヨンの駅に着いたら、あのなつかしい町の広告塔と、電車と、メトロの…

古澤淑子とパリ・コンセルヴァトワール

古澤淑子はパリ・コンセルヴァトワールで数多くの音楽家に出会いました。チェロのモーリス・ジャンドロン、歌手のジェラール・スゼー、ジャック・ジャンセン。そして音楽教師ナディア・ブーランジェ。 毎週水曜は作曲家、ナディア・ブーランジェのサロンへ。…

古澤淑子とクロワザ(その3)

クロワザ(1882-1947)は古澤淑子の個人的問題などにも気を配ってくれたそうです。また夫人には息子が一人いました。 夫人の一粒ダネの坊や、ジャン・クロードは、当時、12、3歳。金髪で頬がボーっと赤い可愛い坊やで、学校の帰りいつも夫人を迎えにきていた…

古澤淑子とクロワザ(その2)

古澤淑子は1937年(昭和12)、クロワザ(Claire Croiza, 1882-1947)の教えるパリのコンセルヴァトワールに入学しました。淑子の師・荻野綾子がパリを訪れたときは、クロワザはまだコンセルヴァトワールで教えていませんでした。しかしレッスン風景は同様で…

古澤淑子とクロワザ(その1)

古澤淑子がパリに落ち着いたのは1937年(昭和12)。翌年には太田(荻野)綾子夫妻は帰国します。 太田綾子がまだパリにいるとき、彼女は自分の師であるマダム・クレール・クロワザのもとへ淑子を連れていく。 綾子がマダム・クロワザに師事したのが大正14年…

古澤淑子と荻野綾子(その4)

1937年(昭和12)6月にマルセイユに着いた古澤淑子は、迎えに来た荻野(太田)綾子と共に列車でパリへ向かいました。綾子が初めてパリを訪れたときもそうであったかという印象です。 列車はゆっくりとパリ市街に入っていく。淑子はもっともっと自然の中を走…

古澤淑子と荻野綾子(その3)

古澤淑子は1937年、いよいよフランスへ留学します。このころ荻野(太田)綾子はパリで開催される国際音楽教育会議に参加のため、同じく渡仏したのでした。 淑子の留学がフランスと決定するまでに、多少の回り道があった。自由学園でも教えていただき、古澤家…

古澤淑子と荻野綾子(その2)

古澤淑子が荻野綾子のレッスンに通っていた1934年(昭和9)、荻野は太田太郎と結婚し太田姓になりました。 このころ、師の大きな心の変化、生活の変化など、淑子のレッスンには何ら、関係してこない。途中で、通う先生の家が変わっただけで、レッスンはさら…

古澤淑子と荻野綾子(その1)

古澤淑子は大連で遠藤郁子(遠藤周作の母)に唱歌を習ったのち、東京での師として荻野綾子を紹介されました。1930年(昭和5)に自由学園に入学し、フランス語を学んでいた14歳のこと。最初のレッスンでは「お嬢様芸だったらおやめなさい」といわれたそうです…

古澤淑子略歴

古澤淑子(1926-2001)の伝記を読み終わりました。フォーレの歌曲『夢のあとに』の楽譜を随所に配し、幼少から晩年までの写真も添えた読み応えのある伝記は、1992年1月〜12月に雑誌『婦人画報』誌上に連載されたもの。荻野綾子とクロワザについての記述はも…

声楽家・古澤淑子の伝記

荻野綾子(1898−1944)に師事した声楽家、古澤淑子(ふるさわ・よしこ、1916-2001)の伝記です。古澤は1937年にフランスへ渡り、荻野と同じくクロワザの門下生となりました。 夢のあとで:フランス歌曲の珠玉 古澤淑子伝 / 星谷とよみ 東京 : 文園社, 1993 3…

四家文子と荻野綾子

四家文子が8歳年長の荻野綾子に師事したのは1929年、『笛吹き女』初演の年でした。自伝から抜粋します。 荻野綾子 パリでクロワザに師事されて帰国、その頃わが国では未知のフランス歌曲の紹介にただ一人活躍されていた。わたしはフランスのアリアだけでは物…

四家文子と山田一雄

四家文子の自伝には、6歳年下のヤマカズ先生も登場していましたのでご紹介します。 山田和男 山田さんとはローゼン先生が渡米された後のN響定期で、マーラーの「第二シンフォニー」を御一緒した思い出が強烈に残っている。 (中略) (ベートーヴェンの「荘…

四家文子と橋本國彦

戦前から戦後にかけて活躍した声楽家・四家文子(よつや・ふみこ、1906-1981)は、東京音楽学校で橋本國彦の1級下でした。彼女の自伝『歌ひとすじの半世紀』には橋本についての章もありましたので、抜粋を紹介します。 橋本国彦 彼はわたしの一年上のクラス…

四家文子の自伝

荻野綾子について書かれた本を集めています。今日は荻野の後輩にあたる声楽家四家文子の自伝が、郡山の古本屋から届きました。郡山といえば2000年の暮に第九の演奏会で行った覚えがあります。会津第九の会主催のコンサートでした。 会津第九の会 http://www.…

荻野綾子と橋本國彦

日本近代音楽観編『作曲家群像』の橋本國彦の項目を見たら、次の記述がありました。 橋本國彦 1904(明治37)9.14〜1949(昭和24)5.6 (前略) 翌28年、フランスより帰国した荻野綾子のリサイタルで歌われたフランス歌曲に感銘を受け、深尾須磨子詩による「…

荻野綾子略年譜

ニッポニカ第24回演奏会では、荻野綾子が1929年の独唱会プログラムで歌った歌曲を取り上げます。 1898 11/2福岡に生まれる 1915 福岡高等女学校卒業、東京音楽学校入学。 1919 東京音楽学校声楽科卒業。 1921 東京音楽学校研究科修了。文化学院で教える。 19…

画家・藤田嗣治と芸術家たち、そして荻野綾子

歌手・荻野綾子(1898-1944)がパリに渡ったのは、1925年〜28年と1930年〜32年、そして1937年の3回。その当時のパリの事が知りたいと思い、10年ほど前に買ったままになっていた藤田嗣治の評伝を読んでみました。画家・藤田嗣治(ふじた・つぐはる、1886-1968…

ヴァイオリニスト諏訪根自子

6月29日の練習の帰りにカーステレオのスイッチをいれたら、ブラームスのバイオリン協奏曲が聴こえてきました。演奏は諏訪根自子(すわ・ねじこ、1920-2012)、片山杜秀さんの「クラシックの迷宮」という番組で、NHK Archives の録音資料を使ったものとのこと…

盤渉と神仙

鈴木俊哉さんのリコーダー講座について調べていて「盤渉(ばんしき)」という雅楽の言葉に遭遇。雅楽のことは全く知らなかったので音楽事典をひいたら、「十二律」を見よ、とあり、「十二律」をひきました。 じゅうにりつ 十二律 互いに約半音程、隔たった12…

リコーダー鈴木俊哉さんの講座

演奏会プログラムに挟み込まれたチラシの中に鈴木俊哉さんの講座案内がありました。 リコーダー現代奏法講座 31 テーマ:石井眞木作曲「東・緑・春」(1991) 演奏・実践曲:石井眞木(1936-2003)作曲「East Green Spring」(1991) 講師:鈴木俊哉 2013年8…

ピアニスト高橋アキとサティ『ヴェクサシオン』

アキコ・カンダを撮った映画『そしてAKIKOは…』の冒頭に流れてきたのは、高橋アキのピアノでサティの『グノシエンヌ第1番』。1976年ころアキさんの「季節外れのヴァレンタイン」というアルバムをよく聴いていたのを思い出す。アキさんはそのころサティのピア…

石井漠とアキコ・カンダ

岩波ホールでやっている映画『そしてAKIKOは…〜あるダンサーの肖像〜』を観てきました。日本モダン・ダンス界の第一人者、アキコ・カンダ(1935-2011)の晩年をとらえたドキュメンタリーで、監督は羽田澄子。若くして渡米しマーサ・グレアムのもとで踊りを学…

TOKKアンサンブルのLP

レコードの棚からTOKKアンサンブルのLPがでてきました。確か発売時に入手したものです。 TOKKアンサンブル・東京 現代日本室内楽選 ビクター音楽産業 , p1976 Music for living process / 一柳慧作曲 ; 横山勝也 (尺八) ; 篠崎史子 (ハープ) ; 山口保宣 (打…

東京クヮルテット

4月3日の日経新聞文化欄に「さらば東京クヮルテット:世界を駆け抜けた44年、自ら幕を引き次の夢へ」という記事が載りました。著者は東京クヮルテットのヴィオラ奏者、磯村和英さん。1969年にジュリアード音楽院に留学していた4人の日本人で結成され、以来ニ…

ブリュッヘンと『ブラック・インテンション』

石井眞木『ブラック・インテンション I 』は、リコーダー奏者フランス・ブリュッヘン(Frans Brüggen, 1934-)のために1976年に書かれました。写真は拙宅にあったブリュッヘンの『涙のパヴァーヌ:ブロックフレーテの魅力』(Blockflöten Werke des Barock)…