ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

作品

能『綾鼓(あやのつづみ)』

小杉作品リハーサルの会場で「綾の太鼓の綾って何ですか」と聞かれました。綾は綾織の布のことで、要するに皮のかわりに布をはった太鼓で、音がでるわけがないのであります。 ところで「綾の太鼓」の台本の最初には、「狂言方出て、能の「綾の鼓」の「間狂言…

『綾の太鼓』台本

ニッポニカが演奏したCD『小杉太一郎の純音楽II』が、このたびSalidaから発売されることになりました。収録されるのは小杉太一郎(1927-1976)作曲の『交響楽』(1953)と『綾の太鼓』(1963)ですが、録音に際して『綾の太鼓』に関する資料をいろいろと渉猟…

ニッポニカ第32回演奏会関連情報

第32回演奏会に関係する情報をランダムにブログにだしてきましたが、人物ごとに一覧にしました。 ■秋山邦晴関係 追悼・秋山邦晴さん http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20171018/ 秋山邦晴とCIE図書館 http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20171017/ …

早坂文雄『管弦楽のための変容』関連情報

早坂文雄の『管弦楽のための変容』は1953年の作品ですが、初演が延期されたまま埋もれていました。1970年代になって秋山邦晴が発見し、1979年に初演されました。初演に参加したメンバーも何人か今回の舞台に乗ります。 ■タイトルと楽器編成 スコアから抜粋で…

湯浅譲二『ピアノ・コンチェルティーノ』関連情報

■タイトルと楽器編成 スコア(全音、2002)からの抜粋です。 ピアノ・コンチェルティーノ / 湯浅譲二 = Piano concertino / Joji Yuasa Instrumentation 2 Flute (=2 Piccolo) 2 Oboe (2° English Horn) 2 Clarinet (2° Bass Clarinet) 2 Bassoon (2° Double…

伊藤昇『マドロスの悲哀への感覚』関連情報

伊藤作品の楽譜は、東京音楽大学付属図書館ニッポニカ・アーカイヴ・コレクションのものを使用しています。 ■タイトルと楽器編成 スコアから抜粋です。 マドロスの悲哀への感覚 : 米窪太刀雄の作品に拠る / 伊藤昇 La tristesse du matelot : à cause de l'o…

武満徹・芥川也寸志『太平洋ひとりぼっち』その2

芥川也寸志(1925-1989)が没した翌年に出版された『芥川也寸志:その芸術と行動』では、武満徹と秋山邦晴が『太平洋ひとりぼっち』に触れています。 ■武満徹の語る『太平洋ひとりぼっち』 武満徹は「芥川也寸志と映画音楽」と題して次のように書いていまし…

武満徹・芥川也寸志『太平洋ひとりぼっち』その1

第32回演奏会でとりあげる武満徹の組曲『太平洋ひとりぼっち』は、1963年に公開された日活映画『太平洋ひとりぼっち』の映画音楽から、1996年に編集されたものです。映画のDVDがでていますが、詳細は次の通り。スコアを開いて映画を観ると、組曲では楽器編成…

武満徹・芥川也寸志『太平洋ひとりぼっち』関連情報

■楽器編成 武満・芥川作品のスコア(ショット・ミュージック, c1996)からの抜粋です。 オーケストラのための組曲『太平洋ひとりぼっち』 / 武満徹・芥川也寸志 = Alone on the Pacific, suite for orchestra / Toru Takemitsu, Yasushi Akutagawa Instrumen…

サティ『パラード』の「蒸気船のラグタイム」

サティの『パラード』では、見世物小屋の前で演じられる3つの出し物に曲が付けられています。一つ目は「中国の手品師」、二つ目は「アメリカの少女」、そして三つ目は「軽業師」。二つ目の「アメリカの少女」では、「アメリカ」を象徴するものとして「タッ…

サティ『バレエ音楽「パラード」』関連情報

台本がジャン・コクトー、舞台美術と衣裳がピカソ、音楽がサティのバレエからとられた組曲です。 ■タイトルと楽器編成 Dover版スコアから抜粋です。英語 [フランス語](日本語)。★印は、「雑音」として挿入されるものです。 Parade : ballet réaliste sur u…

イントナルモーリとマドロスと秋山邦晴

イントナルモーリ(intonarumori)とは、イタリアの画家・作曲家ルイージ・ルッソロ(Luigi Russolo, 1885-1947)が1913年に発明した、騒音楽器です。名称はイタリア語の「調律」(sintonia)と「騒音」(rumore)の合成語らしいです。秋山邦晴は著書『現代…

伊藤昇『マドロスの悲哀への感覚』その4:各楽章の内容

伊藤昇『マドロスの悲哀への感覚』の各楽章の初めには、米窪太刀雄著『マドロスの悲哀』からの文章が、下記の通り引用されています。楽章ごとに内容と背景を挙げておきます。 ■第1楽章「自然的墓地」 六連(むつれ)から済州島、隠岐、松島、釜山を連ぬる圏…

伊藤昇『マドロスの悲哀への感覚』その3:『マドロスの悲哀』

『海のロマンス』で一躍海運関係者に評判となった米窪太刀雄(満亮)ですが、次作『船と人』の出版により、日本郵船はじめ大手船会社から忌諱されてしまいました。そして1914年商船学校を卒業後は、松昌洋行という小さな船会社に就職しました。間もなく船長…

伊藤昇『マドロスの悲哀への感覚』その2:『船と人』

米窪太刀雄(満亮)は『海のロマンス』の次に『マドロスの悲哀』を書いたと思ったら、その前に『船と人』という著作がある事がわかりました。この本も先日古書店から入手しましたので、概要をご紹介します。 米窪は『海のロマンス』出版の翌月にあたる1914年…

伊藤昇『マドロスの悲哀への感覚』その1:『海のロマンス』

第32回演奏会でとり上げる伊藤昇作曲『マドロスの悲哀への感覚』のスコアには、タイトルの後ろに「Yonekubo Tachioの作品に拠る」という言葉がフランス語で書かれています。2005年にこの曲を演奏した際、米窪太刀雄という人が書いた『マドロスの悲哀』という…

武満徹『鳥は星形の庭に降りる』(演奏会プログラム)

1996年より4回目となる飯守泰次郎マエストロとの演奏会。 ◆書誌データ 新交響楽団第157回演奏会 新交響楽団, 1997.4.5 [16]p ; 26cm 注記: 演奏会プログラム ; 日時・会場: 1997年4月5日(土)18:30開演・東京芸術劇場大ホール(東京・豊島区) ; 曲目: 鳥は星形…

山田和男『おほむたから』を聴きました

サントリー芸術財団主催のサマーフェスティバル2017で、昨日『おほむたから』を聴きました。下野竜也指揮、東京フィルハーモニー交響楽団の力演でした。プログラム冊子の『おほむたから』曲目解説の最後に、「使用楽譜:東京音楽大学付属図書館ニッポニカ・…

深井史郎と芥川也寸志の「東京」

片山杜秀さん解説の「クラシックの迷宮」、今夜は「大阪・名古屋・東京」に因んだ作品でした。 クラシックの迷宮:音楽三都物語〜NHKのアーカイブスから〜 NHK-FM 2017年8月26日(土)21時〜22時 片山杜秀 『交響組曲「大大阪」』宮原禎次:作曲 (合唱)ザ・…

三善晃『交響三章』関連情報

■楽器編成 三善晃(1933-2013)作品のスコア(音楽之友社版)から抜粋です。 Trois movements symphoniques / Akira Miyoshi2 Grandes-Flûtes(Petite Flûte持ち替え) 1 Petite-Flûte(Grandes-Flûte持ち替え) 2 Hautbois 1 Cor anlais 2 Clarinettes en S…

深井史郎『架空のバレエのための三楽章』関連情報

■楽器編成 深井史郎(1907-1959)作品のスコアから抜粋した楽器編成です。 Trois mouvements pour ballet imaginaire (1956) / Siro FkaiPicc Flute 1, 2 Hautbois 1, 2 Corn. Englese Clarinette en Si♭ 1, 2 Clarinette bass Si♭ Bassoon 1, 2, 3(Contra B…

芥川也寸志『交響三章』関連情報

■楽器編成 芥川作品のスコア(全音楽譜出版社版)から抜粋です。 Trinita sinfonica / Yasushi Akutagawa2 Flauti 2 Ogoi 2 Clarinetti in La, Sib 2 Fagotti 4 Corni in Fa 2 Trombe in Sib 2 Tromboni Timpani Tamburo militare, con corda Gran Cassa Pia…

ヒンデミットの組曲『気高い幻想』初演

ヒンデミット作曲のバレエ『気高い幻影』は、芸術監督レオニード・マシーン率いるバレエ・リュス・ド・モンテ・カルロにより、1938年7月21日ロンドンにて初演されました。そこから改編された組曲『気高い幻影』の初演は、1938年9月13日、ヴェネチアのフェニ…

ヒンデミット『気高い幻想』の楽器編成

ヒンデミットのスコア(ショット版)の記述から抜粋です。 Nobilissima Visione : Orchestersuite nach der Musik der Tanzlegende (1938) / Paul Hindemith楽器編成 2 Flöten 2 Oboen 2 Klarinetten in B und A 2 Fagotte 4 Hörner in F 2 Trompeten in C 3…

比嘉美智子歌集『一天四海』

ニッポニカ第30回演奏会で初演する中村透作曲『摩文仁(まぶに)〜白き風車よ〜』は、沖縄の歌人・比嘉美智子(ひが・みちこ)さんの短歌に縁のある作品です。比嘉さんは1935年沖縄県那覇市に生れ、那覇高校時代より短歌に親しみ、1955年に短歌結社アララギ…

中村紘子独奏による三善晃と矢代秋雄のピアノ協奏曲

片山杜秀さん解説の「クラシックの迷宮」、昨日は中村紘子(1944-2016)のピアノ独奏による三善晃(1933-2013)と矢代秋雄(1929-1976)のピアノ協奏曲がとり上げられました。三善作品は1962年の作品で、演奏は1980年。矢代秋雄作品は1967年の作曲で初演は中…

福島雄次郎『ヤポネシア組曲』をめぐって

福島雄次郎の『ヤポネシア組曲』を練習していて、「ヤポネシア」って何、と話題になりました。皆なんとなく、鹿児島から沖縄にかけての島々の事をヤポネシアっていうのかな、くらいの感覚でした。ところがある人が、「ヤポネシアは作家の島尾敏雄の造語です…

福島雄次郎『ヤポネシア組曲』の楽器編成

福島雄次郎(ふくしま・雄次郎、1932-2005)作曲「管弦楽のための『ヤポネシア組曲』」の英文タイトルは、"Japonesia suite" for orchestra"です。組曲は「1.アダンの島影」「2.踊り」「3.祈り」「4.喜びの島」の4つから成ります。 「管弦楽のため…

中村透『摩文仁〜白き風車よ〜』の楽器編成

中村透(なかむら・とおる、1946-)作曲「「交響絵図『摩文仁(まぶに)〜白き風車よ〜』」の英文タイトルは、"Symphonic Tableau MABUNI, Scenery the White Windmill watched"です。オーケストラ・ニッポニカ委嘱作品。 交響絵図『摩文仁 : 白き風車よ』 …

久保禎作曲『乱声響楽』の楽器編成

久保禎(くぼ・ただし、1962-)作曲『乱声響楽(らんじょうきょうがく)〜南九州歌謡による〜』の英文タイトルは、"Resonance of Multilayered Voices based on the traditional folksongs in South-Japan" です。オーケストラ・ニッポニカ委嘱作品。 乱声響…