ニッポニカ・ビオラ弾きのブログ

芥川也寸志メモリアル オーケストラ・ニッポニカのビオラ弾きのブログです

マエストロ

山田一雄『一音百態』「難関は父の大反対」

その後音楽学校には「作曲科」が無い、ということを知り、「ピアノ科」を目指すことにして御茶ノ水にある東京音楽学校の分教場に通い、ピアノを本格的に習い始めました。しかし、「音楽をやりたいなどという息子は勘当もの」という時代でしたので、音楽の道…

山田一雄『一音百態』「音楽学校入学を決意」

家で弾いていたピアノを聴きつけて、上野の音楽学校を出たという小鷹さんが尋ねてきました。小鷹さんは小学校の音楽の先生で、30才ほど年の違うのにすっかり親しくなり、作曲した曲をいくつも見て母校の船橋栄一教授を紹介してくださいました。船橋教授は「…

山田一雄『一音百態』「ひたすら作曲の道」

中等科2年のときに阿佐ヶ谷に引っ越してまもなく、父がピアノをかってくれました。熱中して弾いてると隣の教会付属幼稚園の園長先生がやってきて、クリスマス会で発表するイエス様の劇に作曲してほしい、と依頼されました。一生懸命作曲し、クリスマス会で…

山田一雄『一音百態』「小説の世界におびえる」

中高生のころむさぼるように読んだ小説の中に、トルストイの『クロイツェル・ソナタ』がありました。登場する男女の愛、情欲の物語は十分に刺激的で、ひるみつつ読むものの次第に怖くて怖くてたまらなくなりました。ちょうど日本青年館でロシア人指揮者シフェ…

山田一雄『一音百態』「震災と“暴動”の恐怖」

1923年9月1日11時58分、関東大震災。11歳の和男少年は、代々木の自宅にいました。 あの時わたしは、昼食の支度をする母の周りやカマドのそばをウロチョロして、台所で遊んでいた。と突然、メチャクチャで、自分がどこにいるのか、何が何だかわからない激しい…

山田一雄『一音百態』「土曜に家庭音楽会」

スポーツに熱中する一方、家ではオルガンの前で過ごす時間が多かった和男少年は、次第に楽譜もわかるようになり、初歩的な作曲も試みました。音楽の知識は何にもなく、いたずら書きをするように曲を書いていました。 そういえば、あれはだれのアイデアだった…

山田一雄『一音百態』「“小箱”に魅せられて」より

1919(大正8)年に学習院の初等科に入学し、代々木の自宅から学校のある四ツ谷まで3人の兄たちといっしょに電車で通い始めました。同級生は皇族・華族の子息がほとんどで、ケンカのときでも敬語を使ってワイワイやっていました。同級の徳川家英さんの千駄ヶ…

山田一雄『一音百態』「スポーツ万能少年」より

学習院では言葉遣いなど大変丁寧な指導が行われていました。その一方でスポーツの指導も盛んで、四ツ谷から練馬方面まで駆け抜けるクロスカントリーや、弓道、柔道、剣道、乗馬など初等科から中等科にかけてあらゆるスポーツを楽しみました。 こうして、少年…

山田一雄『一音百態』「オルガンで音遊び」より

和男少年は茶の間にあった燭台付きの立派なオルガンで遊ぶようになりました。教えてくれる人はいなかったので、自分で音を探り出しながら美しい音色に感動しました。 だから、少年時代のわたしは、音楽に対していつもハングリーだった。しかし、このひもじく…

山田一雄『一音百態』「“鬱々”の少年時代」より

山田一雄 1912(大正元)年10月19日生まれ。和男と命名される。 わたしの少年時代は、英文学者で学習院の教授をしていた父と、優しい母の庇護のもとに、穏やかに流れていった。わたしの上には、兄が三人。男ばかり続いた四人目の子供だったので、わたしの時…

山田一雄「白髪とマーラー」

『一音百態』よりマーラーについて。 さて、罪つくりなマーラーさんは、ここ十年来「マーラー・ルネサンス」と呼ばれて、再び人気が高まってきている。彼の曲は、豊饒な響きの中に、純真と執拗、平凡と独創、悪魔的と天国的、幼心と巨人的なものなど、あらゆ…

山田一雄「指揮中に消えた!?」

有名な転落事件の顛末について、『一音百態』で山田先生はつぎのように書いてらっしゃいます。N響名古屋公演での出来事でした。 振っていた曲は、ベートーヴェンの『レオノーレ・三番』。曲の、どのあたりを演奏中に落ちたのかは、はっきり覚えていない。何…

山田一雄・新響マーラーシリーズのリンク

以前に作ったエントリーから各プログラムへのリンクが全部終わりました。 山田一雄・新響マーラーシリーズ http://d.hatena.ne.jp/nipponica-vla3/20100512/1273665560 右下のリンクボタンからも飛びますので、どうぞご利用ください。写真は全曲の演奏に参加…

マーラー『交響曲第4番』山田一雄指揮(演奏会プログラム)

山田先生の指揮でマーラーと共にフランス音楽を取り上げました。新宿文化センターの舞台が狭いので危ないことがあってはいけないと手すり付の指揮台を何とか借りてきたのですが、本番間際になって先生に「あれはいらない」と言われてしまったのもなつかしい…

山田一雄追悼TV番組ヴィデオ鑑賞会

今日はK邸にて山田一雄追悼TV番組ヴィデオの鑑賞会をやりました。往年の先生との様々な交流を思い出して話がはずみました。先生の作品の中に溢れる色彩感についてもいろいろな感想が飛び交いました。写真は番組にも出てきた、大筆で書に挑む山田先生(『一音…

マーラー『交響曲第10番』山田一雄指揮(演奏会プログラム)

ビオラパートのソロで始まるマーラーの第10番。パート内に異常な緊張感が走った演奏会でした。山田先生に初めてフランス音楽を指揮していただき、先生の粋なラヴェルに感激したものです。 ◆書誌データ 新交響楽団第116回演奏会:新響マーラーシリーズ第9回 新…

マーラー『交響曲第9番』山田一雄指揮(演奏会プログラム)

マーラーの5番、6番、7番と演奏してきて4回目に取り上げたのが9番の交響曲。このころは寝ても覚めてもマーラーという日々でした。 ◆書誌データ 新交響楽団第98回演奏会 新交響楽団, 1983.1.23 [8]p ; 26cm 注記: 演奏会プログラム ; 日時・会場: 1983年1月23…

山田一雄指揮『大地の歌』(演奏会プログラム)

新響マーラーシリーズ第7回の演奏会プログラム。『大地の歌』の日本初演は1941年N響222回定期でローゼンシュトック指揮(独唱:木下保、四家文子)でした。2回目は山田先生で1947年のN響287回定期(独唱:木下保、四家文子)でした。写真は108回演奏会のチラ…

山田一雄指揮『さすらう若人の歌』(演奏会プログラム)

新響マーラーシリーズ最後の演奏会プログラム。マーラー『さすらう若人の歌』の日本初演は1927年N響17回定期で近衛秀麿指揮(独唱:内田栄一)でした。山田先生は1951年のN響325回定期(独唱:中山悌一)で振られています。 ◆書誌データ 新交響楽団第120回演…

合宿のヤマカズ

3.11以来銀座もずいぶん暗くなりましたが、ニッポニカの打ち合わせは練習がなくてもいつもどおり火曜にやっています。今日も10月の演奏会のあれこれ、その先の企画についてなどたくさん話し合いました。『若者のうたへる歌』は出だしがスコアとパート譜でく…

山田一雄と貝谷八百子

山田一雄『一音百態』本文には、帝国劇場で1946年に行われたバレエ『白鳥の湖・全四幕』日本初演を指揮した際のことが、次のように書かれていました。 バレエ音楽といえば、わたしはその指揮も作曲も戦前に手掛けている。なかでも、この東京バレエ団による『…

山田一雄追悼TV番組(2)

山田一雄先生の追悼番組の2番目は、「題名のない音楽会」のものでした。司会は黛敏郎さん、ゲストに山田先生最後の弟子の作曲家・小鍛冶邦隆さんで、先生の『もう直き春になるだろう』(ソプラノ独唱:中村邦子)、マーラーの交響曲5番からアダージェット(1…

山田一雄追悼TV番組(1)

1991年8月13日に亡くなられた山田一雄先生を追悼するTV番組2つを録画したヴィデオが拙宅にあります。1番目はNHKの番組で同年8月後半の放映でした。当日は練習日だったのか留守録をしたのですが、高校野球が延長になったため放映時間が20分繰り下がり、ヴィ…

追悼・芥川也寸志(演奏会プログラム)

芥川先生没後1周年の演奏会プログラム。3回の演奏会のうち2回を山田一雄先生に指揮していただきました。岸田今日子さんに語っていただいた「ポイパの川とポイパの木」も忘れがたい作品です。 ◆書誌データ 追悼・芥川也寸志 : 音楽はみんなのもの 新交響楽団,…

ズービン・メータのメッセージ

今朝(3/20)の日本経済新聞文化欄は、「芸術の力信じる:日本の友人に深い思い込め」と題する、指揮者ズービン・メータ氏からのメッセージでした。フィレンツェ歌劇場の日本公演で来日していた氏は、13日(日)神奈川県民ホールでプッチーニ『トスカ』を、1…

山田一雄指揮『新世界より』(演奏会プログラム)

これまでに演奏したドヴォルジャーク『新世界より』の中から、山田一雄指揮の演奏会プログラムです。 ◆書誌データ 新交響楽団第128回演奏会 新交響楽団, 1990.7.22 [12]p ; 26cm 注記: 演奏会プログラム ; 日時・会場: 1990年7月22日(日)14:00開演・東京文化…

朝日新聞Globeに指揮者特集とCD案内掲載

本日12月6日の朝日朝刊挟み込みの「The Asahi Shimbun GLOBE」掲載の特集「職業としての指揮者」に、本名マエストロが登場していました。ベトナム国立響の話題とともに、「寒帯林・平和への祈り」のCDも紹介されていました。

本名マエストロの朝日記事

本日の朝日新聞2面「ひと」欄に、本名マエストロとベトナム国立交響楽団の記事が載りました。最後の所を紹介します。 ハノイ建都1000年で「千人の交響曲」を指揮する本名徹次さん……23日、ハノイ建都1千年を記念してマーラーの「千人の交響曲」に挑む。来年1…

マーラー『交響曲第8番』(演奏会プログラム)

山田一雄指揮でのマーラーシリーズ第8回目には、ついに「一千人の交響曲」と呼ばれる8番の交響曲を取り上げました。8人のソリスト、300人の混声合唱が2つ、250人の児童合唱、そしてオーケストラが150人。まさに1000人もの出演者が上野の舞台に乗りました。…

マーラー『交響曲第7番』(演奏会プログラム)

山田一雄指揮でのマーラーも3回目となり、「夜の歌」と呼ばれる7番の交響曲に挑戦。テノールホルンで始まる第一楽章に続き、第二・第四楽章「夜曲」にはマンドリンやギターもはいります。ハープも2台。 ◆書誌データ 新交響楽団第93回演奏会 新交響楽団, 1981…